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小説 中級 19分

ユールログを囲んで:ノルウェーのクリスマス

ペーター・クリスティン・アスビョルンセン

'Round the Yule-Log: Christmas in Norway / Peter Christen Asbjørnsen

ユールログを囲んで、古き物語と伝統が息づくノルウェーのクリスマスイブへと時を遡る。

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クリスチャニア(オスロ)の陰鬱なクリスマスイブ、病み上がりの士官は孤独と故郷への郷愁を感じながら、二人の老姉妹の家に滞在している。彼女たちの昔ながらの習慣と町の過去の物語が、ノルウェーのクリスマスの伝統と民間伝承のコレクションへの序章となる。

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文章の最後にある筆記者の注釈を読んでや。

Green cloth cover with black lettering, illustrated with a picture of a woman in traditional Norwegian costume hanging washing out to dry
Picture of a troll pulling girl by the arm

ユール・ログを 囲んで

ノルウェーのクリスマス

ペーター・クリステン・アスビョルンセン

翻訳: H. L. ブレクスタッド

Picture of a laughing troll

ボストン ダナ・エステス社 発行

エステス・アンド・ローリアット社による

無断転載禁止やで

コロニアル印刷

C. H. シモンズ & Co. による電胎印刷

アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 ボストン

[5ページ]

ユール・ログを囲んで。

わしの部屋の窓の向かいにある古い菩提樹やカエデの 木々の間を、風がヒューヒュー吹き抜けとった。通りには雪が 吹きつけとって、空はここクリスチャニアで見れる12月の空か 思うくらい、真っ黒けやったんや。わしの気分も、そらもう真っ暗な もんやった。クリスマスイブやったんや。実家の居心地ええ暖炉から 離れて過ごす、初めてのクリスマスイブや。わし、こないだ 士官に任命されたとこでな、この休みには帰って年老いた両親を 喜ばせたかったし、教区のレディたちにわしの晴れ姿を 見せびらかしたかったんやけどな。せやけど、熱出して 病院送りになって、一週間前にやっと退院したばっかりで、 今はようやく、みんなが言う『快方に向かっとる』っちゅう状態やねん。 実家には手紙出して、馬とそりと親父の毛皮のコートを 送ってくれって頼んどいたんやけど、わしの手紙が谷間の村に着くのは クリスマスが明けてからやろし、馬が町に来れるんは 大晦日より前には無理やろうな。

友達みんな町出てしもうとったんや。休みん間、気兼ねなく過ごせる親戚もおらんかったんや。泊まらせてもろとった二人の年寄りの独身の女の人らは、ほんまに親切で優しい人らやったで。病気になり始めん時も、めっちゃ世話してくれたんや。せやけど、あの人らの独特なやり方とか習慣は、昔ながらすぎて、若いもんの興味を引くようなもんやなかったんや。あの人らの考えは、ほとんど昔のことばっかりやったな。で、しょっちゅうあったんやけど、町のこととか、そこの人らとか、風習の話をしてくれる時、その話は、内容だけやのうて、飾り気のない話し方からも、昔の時代を思い出させたんや。[Page 6]

Picture of two old maids

あの人らの古めかしい見た目は、住んどった家とぴったり合っとったんや。税関通りの古い家の一つでな、深い窓があって、長うて暗い廊下や階段、薄暗い部屋に屋根裏部屋があって、幽霊とか妖精のこと考えずにはおられへんようなとこやったんや。要するに、まさにそんな家で、ひょっとしたらモーリッツ・ハンセンが「頭巾をかぶった老婆」っていう話で書いとった、あの家そのものやったんかもしれへんな。あの人らの知り合いは、ほんまに少なかったで。結婚しとる姉妹とその子供ら以外には、退屈な年寄りの女の人らが二人来るくらいで、他には誰も来んかったんや。そんな生活の中で唯一の救いは、可愛い姪っ子と、その陽気な小さい従姉妹たちやったな。あの子供らは、いつも私に童話とか物語を話してってせがんだもんやで。

わしは寂しゅうて、しょんぼりしとった気分を紛らわそうと、雪と風の中、鼻を真っ青にして、目を半分閉じながら通りを行き来しとる人らを眺めとったんや。向かいの薬屋の賑わいと活気を見とるんが、なんか面白かったんやで。店の戸は、ほとんど閉まる暇もあらへんかった。使用人やら農民やらが、ひっきりなしに出入りしとって、通りに出てきたら、薬のラベルとか説明書きをじっと見とったわ。中には読めとるみたいなんもおったけど、長いこと見つめたり、首をかしげたりしとるのを見ると、やっぱり難しすぎたんやろな。もう薄暗うなってきとった。もう顔の区別もつかへんようになって、ただ古い建物の方を眺めとったんや。その薬屋の家は、今でも「白鳥」て呼ばれとるんやけど、クリスチャン四世の時代の建築の記念碑みたいに、暗い赤茶色の壁に、尖った切妻屋根と塔、風見鶏と格子窓があって、そこに建っとったんや。その白鳥は、昔も今も、首に金の輪っか、拍車のブーツ、そして今にも飛び立ちそうな翼を広げとって、ほんまに立派で落ち着いた鳥に見えたで。わしが、閉じ込められとる鳥のことでも考え込もうとしとったら、隣の部屋から子供らの騒ぎ声と笑い声が聞こえてきて、それと、おっとりしたおばはんみたいな[Page 7]ノックがドアを叩いたんで、邪魔されたんや。

Picture of an old maid knocking at the door

わしが、お客さん[Page 8]に入ってきてくれ言うたら、大家さんの年上の方、メッテさんが、昔ながらの丁寧なお辞儀をして部屋に入ってきたんや。わしの体の具合を尋ねてくれて、遠慮せんと、今晩はうちでくつろいでいってくれへんか、て誘ってくれたんや。「中尉さん、こんな暗いとこで一人で座っとるんは、体にようないで」て、付け加えたんや。「今すぐうちに来てくれへん?スカウおばあさんと、うちの弟の小さい娘らが来とるんや。ちょっとは中尉さんを[Page 9]楽しませてくれるやろ。中尉さん、可愛い子供らがめっちゃ好きやんか。」

Picture of an old woman wearing a cap

気持ちええ誘いやったんで、受け入れたんや。部屋に入ったらな、大きな四角いストーブで薪がめらめら燃えとって、そっから出る火が、広い開けっ放しのドアから、奥まで深い部屋全体に赤う、ゆらゆら揺れる光を投げかけとったんや。部屋は昔ながらのしつらえで、背の高いロシア革の椅子とか、ファージンゲール(スカートを広げる骨組み)を履いた人がまっすぐ座れるような長椅子が置いてあったで。壁にはな、油絵が飾られとったんや。粉をふいた髪型のお堅い奥さん方とか、カツラをかぶったオーデンボーグの人らとか、鎧や甲冑を着た、または赤いコートを着た、いかにも偉そうな人らの肖像画ばっかりやったで。[Page 10]

「中尉さん、まだロウソクに火ぃつけとらんくて、ほんまにすんませんな」って、妹のシシリーさん、普段は「シリー」って呼ばれとる子が、姉さんとそっくりな丁寧なお辞儀をして、こっちに来て言うたんや。「でもな、子供らが夕暮れ時に火ぃの前でゴロゴロするんがめっちゃ好きやし、スカウ奥さんも暖炉の隅っこで静かにちょっとおしゃべりするんが楽しいみたいやから」ってな。

「ああ、あーだこーだ言うて!シリー、あんたかて夕暮れ時にちょっと世間話するんが一番好きなんやろ、ほんでそのせいでこっちが責められるんやからな」って、スカウお母さんって呼ばれとった、喘息持ちのおばあさんが答えたんや。

Picture of the narrator looking at the paintings

「ええ!こんばんは、旦那さん」って、自分のでっぷりした体格を精一杯見せつけるように身を起こしながら、わしに言うたんや。「こっち来て座って、あんたの具合どないか教えてみいな。けど、ほんまに、あんた骨と皮ばっかりやんか!」ってな。

わしは自分の病気のこと全部話さなあかんかったんや。そしたら、そのお返しに、おばあさんのリウマチと喘息の病気の話を、めっちゃ長々と、しかも詳しく聞かされる羽目になったんやで。[Page 11]幸いなことに、その話は台所から子供らが騒がしく帰ってきて中断されたんやけどな。子供らは台所で、家には昔からおるシュティーネおばあさんに会いに行っとったんや。

「ああ、おばちゃん、スティネが何て言うとるか知っとう?」ちっちゃい茶色い目の可愛い子が叫んだ。「今晩、スティネと一緒に干し草小屋に行って、ブラウニーにクリスマスの粥をあげるんやて。でも、行かへん!ブラウニー、怖いんやもん!」

「気にせんでええんやで、可愛い子ちゃん。スティネはあんたを追い払いたいだけやねん。あんなアホな婆さん、暗い干し草小屋には自分ではよう行かへんのやで。昔、ブラウニーにめっちゃ怖がらせられたん、よう知っとるからな」とメッテさんが言うた。「でも、みんな、中尉さんに『こんばんは』言わへんの?」

「ああ、中尉さんやんか!分からへんかったわ。めっちゃ顔色悪いやんか!ほんまに久しぶりやんか!」子供らが一斉に叫びながら、私の周りに群がってきた。

「なあ、めっちゃ楽しい話してや!中尉さんが話してくれんの、ほんまに久しぶりやんか。ああ、中尉さん、バターカップの話してや、お願いやから!バターカップとゴールデントゥースの話、聞かせてや!」

私はバターカップと犬のゴールデントゥースの話をせなあかんかった。でも、それだけでは許してくれへんかったんや。おまけに、ヴァーガーとビューレのブラウニーの話も二つほどせなあかんかった。そいつらは互いに干し草を盗み合ってて、[Page 12]最後には背中に干し草を積んだまま出会うて、干し草の埃の雲の中に消えるまで喧嘩したんやて。ヘッセルベルグのブラウニーの話もせなあかんかった。そいつは番犬をからかい続けて、農夫が出てきて納屋の橋から投げ飛ばしたんや。子供らはめっちゃ喜んで手を叩いて、心底から笑うとった。

Picture of two brownies fighting

「あの意地悪なブラウニー、ざまあみろや!」子供らは叫んで、また別の話をお願いしてきた。

「ほなな」と私は言うた。「ピーター・ギュントとトロールの話をしたるわ。」

昔々、クヴァムにピーター・ギュントいう名前の猟師がおったんや。そいつはいつも山の中をクマとかヘラジカを追いかけてうろついとったんやで。なんでか言うたら、昔は今よりも山に森がいっぱいあって、そのせいで野生の獣もぎょうさんおったからやねん。

ある日、クリスマスちょい前にな、ペーターはな、旅に出たんやで。ドゥーレフェルっちゅうとこに、クリスマスイブになったら、めっちゃようけトロルが押し寄せてくる農家があるっちゅう話を聞いとったんや。そやから、そこの人らは毎年家を空けて、近所の人んとこに身を寄せとったんやて。ペーターはな、トロルに会うて、そいつらをやっつけられへんか、めっちゃ興味津々やったから、そこに行きたくてたまらんかったんや。ボロボロの古着を着て、飼い慣らしとった白いクマと、キリと、松脂と、紐を持っていったんや。農家に着いたら、中に入って泊めてくれって頼んだんや。[Page 13]

Picture of Peter Gynt and his tame white bear

「『あーあ、困ったもんや!』って農家の人が言うたんや。『あんたを泊めてあげることはできひんで。[Page 14]うちらももうすぐ家から出て、泊まるとこ探さなあかんのや。クリスマスイブになったら、毎年トロルがここに来るんやから。』」

せやけどペーターは、トロルを追い出すことぐらいできるやろって思とったんや。前にもそんなことしとったしな。ほんで、泊まる許可をもろて、おまけに豚の皮まで手に入れたんや。クマは暖炉の後ろに寝転がって、[Page 15]ペーターはキリと松脂と紐を取り出して、豚の皮全部使こて、めっちゃでっかい靴を作り始めたんや。靴をぎゅっと締められるように、丈夫な紐を靴紐にして、最後に、手持ちの棒を二本持って、身構えたんや。

しばらくしたら、トロルらが来る音が聞こえてきたんや。バイオリン弾きを連れてきとって、何匹かは踊り始めて、他のやつらはテーブルの上のクリスマスのご馳走を食べ始めたんや。揚げたベーコンとか、揚げたカエルとかヒキガエルとか、他にも自分らが持ってきとった気持ち悪いもんとか、色々や。そんな中、トロルの中の何匹かが、ペーターが作った靴を見つけたんや。めっちゃでっかい足の持ち主の靴に違いないって思ったんやろな。みんな一斉に履いてみたがって、それぞれ足を突っ込んだんや。せやけどペーターは急いで紐をぎゅっと締めて、手持ちの棒を一本取って、その周りに紐を巻き付けて、とうとうトロルらを靴の中にしっかり縛り付けたんや。

そん時や、熊が寝そべっとった暖炉の後ろから鼻をひょいと出して、なんか炒めとる匂いがしたんやて。

「ネコちゃん、ソーセージいるか?」てトロールの一人が言うて、熱々のカエルを熊の口ん中にぽーんと放り込んだんや。

「ひっかいたれ、ネコちゃん!」てピーターが言うたんや。

熊はめっちゃ怒って、トロールらに飛びかかってそこらじゅうひっかき回したんや。その間にピーターはもう一本のてこ棒を掴んで、頭をかち割る勢いでトロールらをどつきまわしたんやで。トロールらはとうとう逃げ出さなあかんようになったけど、ピーターは残って、一週間ずっとクリスマスのご馳走を堪能したんやて。それから何年もの間、そこらでトロールの噂は聞かんようになったそうや。

何年か後のクリスマスの頃や、ピーターが休みのために森で木ぃ切っとったら、トロールがやってきて、こう叫んだんやて――

Picture of a troll shouting at Peter Gynt

「お前のとこのあのデカいネコ、まだおるんか?」[Page 16]

「おお、おるで! 家の暖炉の後ろにおるわ」て彼は言うてな。「それに、子猫が七匹も生まれとって、どの子も母親よりでっかいんやで。」

「ほんなら、もうお前んとこには二度と行かへんわ」てトロールは言うて、ほんまに二度と来んかったんやて。

子供らはみんな、この話にめっちゃ喜んどったわ。

「中尉さん、もう一つ話してや!」て、みんな口をそろえて叫んだんや。

「あかんあかん、あんたら! 中尉さんを困らせたらあかんで」てセシリーさんが言うたんや。「今度はメッテおばさんがお話してくれるで。」

「うん、おばちゃん、話して、話して!」て、みんなが叫んだんや。

「さあて、何を話したもんやろかなぁ」とメッテおばさんは言うてな、[Page 17]「せっかくブラウニーの話を始めたんやから、うちもその話をしようかな。あんたら、もちろん覚えとるやろ、昔ここへ来てパンを焼いてくれて、いっつもようけ話をしてくれたカーリ・ガウスダールばあさんのこと。」

「うん、うん、覚えとるで!」と子供らは叫んだんや。

「そやな、昔のカーリさんが言うとったんやけどな、何年か前に、あの孤児院で働いとったんやて。その頃はな、今よりもっと寂しゅうて、町ん中も暗い感じやったんやて。あの孤児院はな、ほんまに暗うて陰気な場所やで、言うとくけど。そんでな、カーリさんがそこに来た時は、料理人やったんやけど、ほんまに賢うて器用な娘さんやったんや。ある日な、朝めっちゃ早う起きて、酒造りせなあかんかったんや。そしたら、他の使用人たちがカーリさんに言うたんやで、—」

Picture of Kari swinging the burning log

「『あんた、あんまり早う起きん方がええで。二時になるまでは、釜の下に火ぃ入れんといてな』」

「『なんでや?』って、カーリさんが聞いたんや。」

「『ここにはな、ブラウニーがおるん知らんの?あんな人らはな、そんな早うから邪魔されるん嫌いやねん、知っとるやろ?』って言うたんや。『せやから、二時になるまでは、絶対火ぃつけたらあかんで』」

「『それだけかいな?』って、カーリさんが言うたんや。カーリさんはな、全然臆病な子やなかったんやで。『あんたらが言うブラウニーなんか、私には関係あれへんわ。せやけど、もし私の邪魔するようなら、ほんまに、ひっくり返してドアから放り出したるで!』」

「他の人らは忠告したんやけど、カーリさんは全然気にせえへんかったんや。ほんで次の朝、時計がちょうど一時を打った時、カーリさんは起きて、酒造所の釜の下に火ぃつけたったんや。せやけど、火はすぐに消えてしもたんや。誰かが炉の上の薪を投げ散らかしとるみたいやったけど、誰なんかは見えへんかったんや。カーリさんは薪を一つずつ集めたんやけど、全然あかんかった。煙突も煙を吸い上げてくれへんかったんや。カーリさんはついにこれにうんざりしてな、燃えとる薪を一本掴んで、部屋中を走り回ったんや、それを高く低く振り回しながら、『出て行け、出て行け、来たところへ帰れ!私を怖がらせられると思っとるなら、勘違いやで!』って叫んだんや。[Page 18]『呪ってやる!』って、誰かが一番暗い隅っこでシューって言うたんや。『この家で七つの魂を手に入れたのに、全部で八つになるはずやったのに!』『せやけど、それ以来、孤児院でブラウニーを見たもんも聞いたもんもおらへんかったんや』って、カーリ・ガウスダールさんが言うとったで。」

「もうめっちゃ怖なってきたわ!」子供らの一人が言うたで。「あかん、もっと話聞かせてや、中尉さん;中尉さんの話聞いとったら、全然怖ないねん、めっちゃおもろい話してくれるから。」また別のんは、小鬼が娘さんとハリングダンス踊った話聞かせてって言うてきたわ。あれはな、歌が入っとったから、あんまり気乗りせん話やったんやけどな。せやけど、どないしても許してくれへんかったんや。それで、わしは喉を整えて、めっちゃ音痴な声で、その話に出てくるハリングダンスを歌う準備しとったんや。そしたら、前に言うとった可愛い姪っ子が部屋に入ってきてな、子供らはめっちゃ喜んだし、わしも助かったわ。

「まあ、可愛い子供ら、リジー姉ちゃんにハリング歌ってもらえるんやったら、話したるで、」わしは、彼女が座った時に言うたわ、「そしたら、お前らもそれに合わせて踊るんやろ?」

リジー姉ちゃんは子供らに囲まれてな、歌うって約束せなあかんようになったんや。それで、わしは話始めたんやで。

Picture of the girl lying in the hay-loft

「昔な、ある時な、—わし、ほとんどハリングダールやったと思うんやけどな—ある娘さんが、ブラウニーにあげるクリーム粥持って、屋根裏の干し草置き場に上がらされとったんや。[Page 19]木曜日やったかクリスマスイブやったか、ちょっと思い出せんのやけど、クリスマスイブやったと思うわ。ほんでな、その娘さん、ブラウニーにこんなごっつええもんあげるん、めっちゃもったいない思うてな、お粥も溶かしバターも、全部自分で食べてしもうたんや。代わりに、ただのオートミール粥と酸っぱい牛乳を、豚の餌入れに入れて屋根裏に持って上がったんや。『ほれ、ブラウニーさん、これで十分やろ』て言うたんや。そやけどな、その言葉言うた途端、ブラウニーが目の前に現れて、娘さんの腰掴んで、息もできんようになるまで踊り続けたんや。朝になってみんなが屋根裏に来た時には、娘さん、生きてるんか死んでるんか分からんくらいやったで。せやけど、踊っとる間ずっと、ブラウニーは歌っとったんや、(ほんで、ここでリジーおばさんがブラウニーの役になって、ハリングの曲に合わせて歌い出したんや)—」

わしは足で床をドンドン踏んで、拍子を取るん手伝っとったんや。子供らは部屋中をめっちゃ楽しそうに、はしゃぎ回っとったで。

「あんたら、家ひっくり返しとるんちゃうか、子供ら!」[Page 20]てスカウおばあさんが言うたんや。「静かにするんやったら、お話したるで」

子供らはすぐに静かになったで。ほんでスカウおばあさんは、こう話し始めたんや。

Picture of a Brownie hurling dishes on the floor

「ブラウニーとか妖精とか、そないなもんの話はぎょうさん聞くけど、ほんまかいなと思うわ。わしはどっちも見たことないねん。そら、わしの人生でそんなにあちこち行ったわけやないけど、全部くだらん話やと思うで。せやけど、台所におるおばあさんのスタイネはな、ブラウニーを見た言うとったで。わしが堅信礼した頃、うちの両親とこで働いとったんや。船長さんとこから来たんやけど、その船長さんはもう海に出るんやめとったんやて。そこはめっちゃ静かなとこやったらしいで。船長さんは毎日埠頭まで散歩するだけやったしな。みんな早よ寝とったんや。家にはブラウニーがおるって、みんな言うとったわ。まあ、ある晩のことや。スタイネと料理番が部屋で座って、繕いもんしとったんや。もう寝る時間近かったで、番人が『十時や!』って言うとったからな。せやけど、繕いもんも縫いもんも、なんや知らんけどめっちゃゆっくり進むねん。しょっちゅう『眠気のジャック』が来て、ちょっかい出しとったんやろな。ある時はスタイネがこっくりこっくりしとって、今度は料理番の番や。二人とも目開けとられへんかったんや。その日の朝は早よから起きて洗濯しとったからな。せやけど、そうやって座っとったら、台所でドーンてすごい音がしたんや。スタイネは『あらまあ、神様助けて!ブラウニーに違いあれへん!』って叫んだんや。あんまり怖くて、足も動かせへんかったらしいけど、やっと料理番が勇気出して台所へ降りて行ったんや。スタイネもぴったりくっついて行ったで[Page 21]。台所のドア開けたら、食器が全部床に散らばっとったんやけど、一つも割れとらんかったんや。そんでな、[Page 22]ブラウニーは大きな台所のテーブルの上に赤い帽子かぶって立っとって、皿を次から次へと床に投げつけとったんや。めっちゃ楽しそうに笑いながらな[Page 23]。料理番はな、ブラウニーはめっちゃ静かな場所を教えてやったら、別の家に引っ越すように騙せるって聞いたことあったんや。このブラウニーに一泡吹かせたる機会をずっと狙っとったから、勇気出して話しかけたんや。その時はちょっと声が震えとったらしいけどな。『向かいのブリキ職人のとこへ引っ越したらええで。あそこはめっちゃ静かでええとこやで。毎晩九時には寝とるからな』って言うたんや。それはほんまのことやったんやて、後で料理番がスタイネに言うとったけどな。せやけど、そこの親方と弟子たち、職人たちは毎朝三時には起きて、一日中カンカン叩いて、ものすごい音出しとったんや。その日以来、船長さんとこではブラウニーをもう見かけへんようになったんやて。ブリキ職人のとこでは、一日中カンカン叩いとったけど、ブラウニーはすっかり馴染んどるみたいやったで。せやけど、みんなはな、そこの奥さんが毎週木曜日の晩に、屋根裏にオートミールのお皿を置いとったって言うとったわ。家の中にブラウニーがおったら、そら上手いこといって金持ちになるのも不思議やないわな[Page 24]。スタイネは、ブラウニーが色んなもん持ってきてくれたんやと思っとったで。ほんまにブラウニーが助けたんかどうなんかは、わしには分からへんけどな」と、スカウお母さんは話を締めくくって、このお母さんにとっては珍しい長い話を語り終えた後、咳き込んでむせとったわ。

Picture of the gude-wife putting porridge in the garret

嗅ぎタバコをちょっと吸うたら気分ようなったんや。ほんで、まためっちゃ元気になったんやで。ほんで、話し始めたんや:—

「うちのお母ちゃん、ちなみに、ほんまのことしか言わん人やったんやけど、ここらの町でクリスマスイブの晩に起こった話をしてくれたんや。ほんまの話やて、うち知っとうで。嘘なんか、お母ちゃんの口から出たことないんやから。」

「聞かせておくれや、スカウさん」て、うちが言うたんや。

「うん、話して、話して、スカウおばあちゃん!」て、子供らが叫んだんや。

ちょっと咳して、また嗅ぎタバコをちょっと吸うて、ほんで、続けたんや:—

Picture of a Church with light streaming from the windows

「うちのお母さんがまだ十代やった頃、知り合いの未亡人んとこに時々遊びに行っとったんやて。その人の名前がな、えらいこっちゃ、何て名前やったかいな?マダム、そうそう、マダム・エヴェンセンやったわ、もちろん。その人は人生のええ時期はもう過ぎとった人やったんやけど、ミル通りに住んどったんか、それともリトルチャーチヒルの角っこに住んどったんか、それはよう分からへんのや。まあな、あるクリスマスイブの晩、ちょうど今晩みたいに、その人はクリスマスの日の朝の礼拝に行こうと思っとったんやて。めっちゃ教会好きやったからな。それで、寝る前に女の子にコーヒー出しといてって言うてたんや。次の日の朝に一杯飲めるようにって。そない早い時間に温かいコーヒー飲んだら、めっちゃええやろなって思とったんやろな。目が覚めたら、月が部屋に差し込んどったんや。せやけど、時計見ようと起き上がったら、時計が止まっとって、針が十一時半を指しとったんやて。今何時か全然分からへんかったから、[Page 25]窓んとこ行って、教会のほう見渡したんや。教会の窓全部から光が漏れとったんや。寝過ごしてしもうたんやろな!それで、女の子呼んで、自分は服着ながらコーヒーの準備するように言うたんや。ほんで、賛美歌の本持って教会に向かったんや。道はめっちゃ静かやったで。教会行くまでに誰一人会わへんかったんや。中に入ったら、いつもの席、礼拝堂の長椅子の一つに座ったんやけど、周り見渡したら、みんな顔がめっちゃ青白くて、なんか変やなあって思ったんや。まるでみんな死んどるみたいやったんや。誰一人知らん人ばっかりやったんやけど、何人かは前にも見たことあるような気がしたんや。せやけど、いつどこで見たんか、全然思い出せへんかったんやて。牧師さんが説教壇に上がってきたら、町の牧師さんの一人やのうて、背が高くて青白い男の人やったんや。せやけど、その顔はどっかで見たことあるような気がしたんやて。その牧師さん、ほんまにええ説教しとったんや。クリスマスの朝の礼拝でいつも聞くような、うるさい咳払いや痰を吐く音も全然なかったんや。めっちゃ静かでな、床に針落としたら聞こえるくらいやったんやで。実際、あんまり静かやから、なんかめっちゃ落ち着かへんし、居心地悪いなあと思い始めたんや。また賛美歌が始まったら、隣に座っとった女の人が、こっちに身を乗り出して耳元で囁いたんや。『マントをゆるく羽織って、はよ行き。ここで礼拝が終わるまで待っとったら、あんたのことすぐに片付けてしまうで。これ、死んだ人らが礼拝しとるんやから。』」

「ああ、スカウお母ちゃん、めっちゃ怖いんや、めっちゃ怖いんや!」て、子供の一人が泣き言言うて、椅子の上に登ったんや。

Picture of a girl running from the church

「しーっ、しーっ、坊や!」てスカウお母ちゃんが言うたで。「あの人は無事に逃げられたんやから、大丈夫や。ちょっと聞いてみい!未亡人が隣の人の声を聞いた時、振り返って見たら、ほんまにびっくりしたんや!その人、見覚えあったんや。何年も前に亡くなった近所の人やったんやで。教会を見回したら、牧師さんも、信者さんも、前に見たことある人ばっかりで、みんなずっと前に亡くなっとったんをよう覚えとったんや。これで背筋がゾーッとして、ほんまに怖うなったんや。隣の女の人が言うた通り、マントをざっと羽織って、座席から出たんやけど、みんなが振り返って、自分に手を伸ばしとるように思ったんやて。足がガクガク震えて、教会の床に沈んでしまいそうやったんや。階段に出たら、マントを掴まれとる気がしたんや。せやから、マントは諦めて、そいつらの手に残したまま、できるだけ早う家へ急いだんや[Page 27]。ドアに着いたら時計が一時を打って、家の中に入った時には[Page 28]もう半分死んだみたいやったんや、それくらい怖かったんやで。朝、みんなが教会に行ったら、マントが階段に落ちとったんやけど、千切れ千切れになっとったんや。うちの[Page 29]お母ちゃんは、そのマントをよう見とったし、破片の一つも見たんちゃうかなと思うんやけど、そんなことはええねん、それは短こうて、ピンク色のウールのマントで、毛皮の裏地と縁取りがあって、うちが子供の頃にはまだ使われとったようなやつやったんや。今ではめったに見かけへんけど、町の中とか『ホーム』におるおばあちゃんらの中には、クリスマスの時に教会でそんなマントを着とる人を見かけるで。」

Picture of a young woman holding a bible

物語の後半で、めっちゃ怖がって不安そうにしとった子供らは、「もうこんな恐ろしい話は聞きたない!」って言うとったで。ソファとか椅子の上に這い上がっとったんやけど、それでもまだ、テーブルの下から誰かに引っ張られとる気がするって思っとったみたいやねん。突然、明かりが運ばれてきてな、そん時になって、子供らが足をテーブルの上に上げとるん見て、めっちゃ笑ろたわ。明かりとクリスマスケーキ、ゼリーにタルト、それにワインが、すぐに恐ろしい幽霊話と、みんなの心から恐怖を追い払うてくれたんや。みんなの気分も盛り上がって、話は近所の人らのこととか、その日の話題に移っていったで。ほんで、最終的には、クリスマスのお粥と豚のローストスペアリブが出てきたら、もっとええもんの方に考えが飛んでいったんや。早めに解散してな、「メリークリスマス!」って最高の願いを込めて別れたんや。せやけど、わしはめっちゃ落ち着かん夜を過ごしたんや。その原因が、あの話やったんか、豪華な晩ごはんやったんか、わしの体調が悪かったんか、それとも全部が合わさったもんやったんか、よう分からんのやけど、一晩中ベッドで寝返りばっかり打って、ブラウニーとか妖精とか幽霊とごっちゃになってしもうたわ。最終的には、楽しそうなそりの鈴の音が耳に響く中、わしは空を飛んで教会に向かっとったんや。教会は明かりが灯っとってな、中に入ったら、谷の上にあるわしらの教会やったんや。そこには[Page 30]、赤い帽子をかぶった農民と、完全な制服を着た兵隊、白い頭飾りと赤い頬っぺたの田舎の娘さんらしかおらんかったで。牧師さんが説教壇におったんやけど、それはわしが小さい頃に亡くなった、わしのおじいちゃんやったんや。せやけど、説教の真っ最中に、おじいちゃんが宙返りしたんや—あの人は教区で一番賢い男の一人として知られとったんやけどな—教会のど真ん中に飛び込んでな、白衣はこっちに飛んで、襟はあっちに飛んでいったで。「そこに牧師がおるやろ、ほんでここにはわしがおるんやで」って、いつもの調子で言うてな、「さあ、今から春のダンスをしようやないか!」って言うたんや。ほんまに一瞬で、会衆全員がめちゃくちゃなダンスの真っ最中やったで。大きくて背の高い農民がわしのとこに来て、肩を掴んで「お前も一緒に踊らなあかんで、坊主!」って言うたんや。

その時、わしは目が覚めたんや。誰かが肩引っ張っとるん感じたんやで。夢で見たんと同じ農民が、わしの上に身ぃ乗り出しとるん見た時、自分の目ぇ疑うたわ。そいつは、赤い帽子を耳まで深くかぶっとってな、腕にはでっかい毛皮のコートかけとったんや。そんで、でっかい目ぇでわしのことじーっと見とったんやで。

「『あんた、夢見とるんやろ』ってそいつは言うたんや。『おでこに汗がでっかい粒になってついとるで、穴ん中で寝とる熊みたいに、ぐっすり寝とったやんか!神さんの平安と、[Page 31]楽しいクリスマスをあんたにやで!谷の上のあんたのお父さんと、みんなからよろしく言うとったで。これ、お父さんからの手紙や。庭には馬が待っとるで』ってな。」

「『え、ほんまかいな!トール、あんたなんかいな!?』ってわしはめっちゃ喜んで叫んだんや。ほんまに、お父さんのとこの男で、ノルウェーの農民のええ男やったんや。『一体全体、もうここに来とったんかいな!?』」

Picture of Thor leaning over the bed

「『ああ!それはすぐ話せるで』ってトールは答えたんや。『あんたのお気に入りの、鹿毛の牝馬と来たんや。お父さんをナースまで連れて行かなあかんかったんやけどな、そしたらお父さんがわしに言うてな、『トールや』って、『ここから町まではそんなに遠ないやろ。鹿毛の牝馬連れて、ちょっと行って中尉さんの様子見てきてくれ。もし元気で、あんたと一緒に帰れるんやったら、連れて帰ってきてくれ』って言うたんや』ってな。」

町を出た時は、もう明るなっとったんや。道はめっちゃええ状態やったで。鹿毛の牝馬は、[Page 32]年取っとるけど賢い脚を伸ばしてな、やっと懐かしい家が見えるとこまで来たんや。トールはそりから飛び降りて、門を開けに行ったんや。そんで、わしらが陽気に玄関まで乗り付けたら、老犬のローバーがめっちゃ騒がしい歓迎で出迎えてくれたんや。わしの声聞いて、狂ったように喜んで、わしに飛びかかろうとして鎖ちぎりそうになっとったで。

あの年に過ごしたクリスマスみたいなんは、あれから前も後も、思い出せんわ。

おしまい。

転記者注

引用符で囲まれた会話文の句読点は、統一されとるで。それ以外の句読点とスペルは、元のテキストのままにしとるんや。

絵ぃのいくつか、元あったとこから段落の切れ目んとこに動かしとるんやで。描かれとる場面に、できるだけ近いとこに置くように、めっちゃ頑張ったんやで。

右側にあるページ番号は、本の白黒画像に繋がっとるんやで。元の本には、全面の絵の後に白紙のページがあるんやけどな。画像ファイルのサイズを小さくするために、その白紙のページも、全面カラー絵の白黒コピーも、どっちも入れとらんのやで。

一番上に戻ってや。

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